厚生年金給付水準の新たな試算

厚生労働省は2,055年の出生率を1.26に下方修正した新推計人口に基づく厚生年金給付水準の新たな試算を公表しました。

年金積立金の運用利回りが高く、賃金上昇率も堅調という
好調な経済動向の場合で現役世代の年収の54.2%、
最悪のシナリオでは43.9%と見積もっています。


【 試算方法等の概要 】

平成16年財政再計算における基礎データ及び試算方法をベースにしつつ、以下のような足下補正を行った上で、人口の変化等が年金財政に及ぼす影響について暫定的に試算をする。

•収支決算結果や被保険者数の動向など、実績等を可能な限り反映している。

•基礎年金の国庫負担割合は、平成20年度までは1/3+32/1000、平成21年度以降は1/2とした。

•足下の経済前提は、内閣府「日本経済の進路と戦略[PDF]」の参考試算を踏まえて設定。

•所得代替率の見通しは、平成18年度の所得代替率(標準報酬の平均は平成17年度の被用者年金男子加入者の実績)を足下として算出した。

男子の標準報酬(ボーナス含む)の平均45.3万円=
可処分所得は×84%により38.0万円=
平成18年度の年金額(2人分の基礎年金とに基づく報酬比例年金)22.7万円=

平成18年度の所得代替率は59.7%(=÷

※上記の年金額及び所得代替率は、物価スライド特例が解消したとした場合の数値である。物価スライド特例を考慮すると、年金額は23.0万円、所得代替率は60.5%である。



【基本ケース】(最近の経済動向を踏まえた前提)

人口        最終的な所得代替率とその到達時期
出生高位      平成32(2,020)年度以降 54.2%
出生中位      平成38(2,026)年度以降 51.6%
出生低位      平成41(2,029)年度に50%で給付調整を終了
           ※平成43(2,031)年度以降 49.4%


【参考ケース】(平成13〜14年頃の経済動向を踏まえた前提)

人口        最終的な所得代替率とその到達時期
出生高位      平成41(2,029)年度以降 54.2%
出生中位      平成39(2,027)年度に50%で給付調整を終了
           ※平成47(2,035)年度以降 46.9%
出生低位      平成39(2,027)年度に50%で給付調整を終了
           ※平成50(2,038)年度以降 43.9%


出生高位・・・2,055年の合計特殊出生率を1.55と仮定
出生中位・・・2,055年の合計特殊出生率を1.26と仮定
出生低位・・・2,055年の合計特殊出生率を1.06と仮定


人口の変化等を踏まえた年金財政への影響(暫定試算)[PDF]


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進む年金制度の空洞化

政府が2,004年に改正した年金制度は、制度の大前提となる※合計特殊出生率が大幅に下方修正されたため、早くも空洞化の危機を迎えています。

日本の年金制度は、高齢者の年金給付を現役世代の保険料で賄う方式ですが、合計特殊出生率の下方修正は、将来の年金を担う人たちが前回の推計より少なくなることを意味するため、政府に本格的な制度見直しを迫るものです。

これまでも実際の出生率が推計を下回る状況が続き、人口推計の甘さが再三指摘されてきました。

人口減少の始まりも従来の政府見通しより2年も早い2,005年からでした。 

新たな推計では、出生率は2,013年の【1.21】が下落のピークとなり、2,055年では【1.26】まで回復すると予想していますが、前回推計の【2,055年=1.39】と比べると大幅に下落しているのがわかります。

2,004年の年金改正で、公的年金の給付水準は【現役世代の手取り収入の50%確保】としていましたが、新たな出生率推計をもとにすれば【48%程度】まで下がる可能性も大いにあります。

【現役世代収入の50%維持】のため年金保険料は段階的に引き上げられて、2,017年に固定されます。

給付水準を維持できないとなると、保険料をさらに引き上げる事態も予想されます。

また、少子化以外には国民年金未納問題があります。これらのことを勘案すれば、景気の期待値をも含めた試算は「絵に描いた餅」ともいえ、政府のご都合主義ともいえる対応が、年金不信をさらに増幅するのは確実といっても過言ではないでしょう。

「全ての年金を一元化して安定した制度を再整備することは、同時に少子化・高齢化対策にもなる。」

将来の生活に不安があれば、若い世代が子どもを産もうとしないのは当然ともいえ、早急な論議・改革が政府に望まれます。

先送りは少子化にさらに拍車をかけ、富裕層と貧困層間の格差や地域間の格差も拡大しかねない状況となるでしょう。

厚生労働省は出生率の下方修正が年金制度にどう影響するかを試算して、2,007年1月末に公表する予定ですが、【50%給付】の内容も含めて詳しく検証する必要があります。

以前の論議では、【50%確保】は給付開始時に限られ、モデル世帯(平均的な会社員と専業主婦とされる)以外は給付開始時さえ確保できないとする指摘があったからです。
現実には共働きの方が一般的であり、モデル(とされる)世帯以外の給付がどうなるかも含めて厚生労働省は公表する必要があるでしょう。


※合計特殊出生率(ごうけいとくしゅしゅっしょうりつ)とは
人口統計上の指標で、一人の女性が一生の内に生む子どもの数を示します。
この数値によって、将来の人口の自然増減を推測することができます。
例えば、調査対象における男女比が1対1であり、すべての女性が
出産可能年齢以上まで生きるとすると、合計特殊出生率が2であれば
人口は横ばいを示し、これを上回れば自然増、下回れば自然減となる
はずです。実際には生まれてくる子どもの男女比は男性が若干高いこと、
出産可能年齢以下で死亡する女性がいることから、自然増と自然減との
境目は2.08(あるいは2.07)とされています。

日本の将来推計人口

国立社会保障・人口問題研究所は、2,055年までの日本の将来推計人口を12月20日(水)に発表しました。

最も実現性が高いとされる中位推計によりますと、合計特殊出生率は1.26で、2,002年の前回推計値1.39を大きく下方修正しています。

日本の総人口は2,005年の1億2,777万人から2,055年には8,993万人と、50年で約3,800万人減少すると予測しています。

65歳以上の人口は2,005年から約1,100万人増え3,646万人と予想しており少子高齢化に歯止めが掛からない日本の将来像が見えてきました。

年齢層別で見ると、年少(0〜14歳)人口が50年で約1,000万人、生産年齢(15〜64歳)人口が約3,800万人とそれぞれ減少する一方で、平均寿命は延びて老年(65歳以上)人口は大幅に増加し、“5人に2人”が高齢者となる見込みです。

また日本の総人口は2,046年には9,938万人と1億人を割り込むとしています。


国立社会保障・人口問題研究所

日本の労働力人口 2,050年には

厚生労働省は、現在の勢いのまま人口減少が進んだ場合
労働力人口(15歳以上の就業者と求職者の合計)は2,030年以降
急速に落ち込み、2,050年には2,004年の水準より2,171万人少ない
4,471万人に減少するとの試算をまとめました。

仮に雇用対策が成功し、高齢男性や30代前半の女性の就労が飛躍的に
進んだ場合でも4,864万人になる見込みで、労働力人口の減少は
経済に深刻な影響を与えかねず、新たな少子化対策を求める声がさらに
強まりそうです。

試算は、2,004年の労働力人口6,642万人を基準にして、2,002年に
まとめた将来人口推計の通りに人口が減り続けたとして計算しました。

また、保育所や介護サービスの充実、多くの企業で65歳定年が定着する
など飛躍的に雇用環境が改善されたと仮定し
30〜34歳の女性の就労が2,030年に80.4%(2,005年は62.2%)、
60〜64歳の男性の就労が89.4%(同70.5%)に上昇した場合を想定した
「働く人が増えるケース」についても試算値をはじき出しました。

この試算によると、労働力人口は総人口の減少に伴って減り続け
2,030年に5,597万人、それ以降はさらに大きな下落カーブを描き続け
2,040年に5,014万人、2,050年には4,471万人になることが判明しました。

働く人が増えるケースではカーブは若干緩やかながら下落は避けられず
同様に6,109万人→5,466万人→4,864万人になる見通しです。

厚生労働省は、総人口に占める労働力人口が現在と同水準を維持できる
2,030年までは、技術革新や資本増などで労働力人口の減少による経済への
影響をある程度カバーできると分析していますが、今年生まれた子供が就労年齢に達するのは約20年先になることを考慮すると、早急な少子化対策女性や高齢者の就業促進対策が望まれます。

厚生労働省ホームページへ

代理母制度

子宮がんや病気などで子宮を失ってしまった女性にとって
代理母は実子を授かる上で究極の方法といえます。

日本では代理母を禁止する法律はなく、法的問題や倫理的問題はありますが、少子化が進む日本では代理母制度はこれからより需要が高まってくるかもしれません。

代理母とは、子宮がんなどの病気や何らかの理由で子宮を失ってしまった女性の代わりに、別の女性が妊娠・出産をするというものです。

最も一般的な例としては、夫の精子と妻の卵子を体外受精し、その受精卵を代理母の子宮に戻す方法があります。

また、夫の精子と卵子提供者の卵子を体外受精し、その受精卵を代理母の子宮に戻す方法や、妻の卵子と精子提供者の精子を体外受精させその受精卵を代理母の子宮に注入する方法などがあります。

他には、精子提供者の精子を直接代理母の子宮に注入する方法もあります。しかしこの方法の場合、代理母と生まれてくる子供の間に血縁関係ができてしまいます。

代理出産にはこのように様々な方法があり、方法によっては生まれてくる子供の血縁関係がとても複雑になってしまうため、産科医師の団体「日本産科婦人科学会」は、会告(指針)として代理出産を禁じています。

少子化が進む日本ですが、一方では子供が欲しくてもなかなか授からない夫婦もたくさんいます。

不妊治療も年々技術が向上し、念願の子供を授かったという人もいますが、病気などで子宮を摘出した人、精子や卵子に問題があり妊娠が不可能な夫婦など、子供をあきらめた人にとって代理母(制度)の存在は決して見過ごすことのできない事実です。

日本でも代理母に関する議論を深め、一日も早い法整備が必要です。

【参考】
代理母ドットコム

年金は夫婦2人でいくらもらえますか?

このまま少子化が進むと公的年金にも影響が出ます。

「ひょっとしたら年金だけでは暮らせないかも…。」と
定年退職後の生活に漠然とした不安を抱えている人も多いでしょう。

厚生労働省によると【サラリーマンの夫と専業主婦の妻】という平均的なモデル世帯の場合、夫婦で受け取れる年金は月に約23万円となっています。

賃貸マンションに住んでいる場合や、住宅ローンの返済が残っている場合などは、住宅費を月10万円と仮定すると、残りの13万円で食費、水道代、光熱費、医療費などをまかなわなくてはならなくなり、もはや年金だけで悠々自適な暮らしを送ることは厳しいでしょう。

さらに、サラリーマンが加入している厚生年金は、夫の賃金水準や加入期間によって受給額が異なる上、さらに注意すべきは、この金額は現行の年金制度にもとづいた数字であることです。
若い世代ほど、受け取れる年金額が減っていくことが予測されるため、将来的には月23万円を大きく下回るでしょう。

平成18年度の年金額の見込み
(厚生労働省「平成18年度の年金額の見込み」より )
○自営業者・夫婦2人分の国民年金
基礎年金 ・・・  13万2,016円
○サラリーマン・夫婦2人分の厚生年金
基礎年金を含む標準的な年金額 ・・・ 23万2,592円
※厚生年金が、夫が平均的収入(平均標準報酬36万円)で、40年間就業し、かつ、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯の新規裁定の給付水準
続きを読む

少子化が進むとどうなる・年金



少子化によって将来の労働人口が減り、社会全体に占める高齢者の割合が
高まる高齢化減少を引き起こしてしまいます。

そうなると、さまざまな問題が起こってきます。

少子高齢化で引き起こされる代表的な問題は年金問題でしょう。

公的年金は賦課方式といい、現役世代の支払いが年金受給世代への
給付を支える形になっているためです。

現在のこのシステムは、少子高齢化社会には全くマッチしておらず
年金財政の問題のみならず、世代間の不公平を引き起こす要因と
なっています。


◎年金は払うべきか、払わざるべきか。

厚生年金、国民年金、共済年金・・・あなたが入っているのはどれですか?

それとも・・・約37%の“国民年金滞納者”ですか?
(加入は法律上義務ですので、払わない人は滞納者です。
収入が低くて払えない場合、免除してもらえる場合もありますので
とにかく放置はだめです。)

万一のときの遺族基礎年金(世帯主が亡くなったときは18歳未満の子供が
いれば、子ども1人の例で年間約102万円支給される)や
障害年金(障害状態になった時の国からの保障)も国民年金から支給され
ますので、子供がいるご家庭は必ず手続きをしてください。

民間の保険会社で同じような保障を設計したら、保険料はかなり高くなり
ます。年金の滞納はやめましょう。


社会保険庁・自分で出来る年金額簡易試算

社会保険庁・年金見込額試算(50歳以上)

社会保険庁ホームページ
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新着記事 一覧
■諸外国における年齢別人口の割合■
(諸外国は2,012年推計値)

国名年齢別・人口割合(%)
0-14歳15-64歳65歳以上
日本(2.014年推計値)12.861.326.0
韓国16.272.711.1
中国18.173.58.4
イタリア14.065.720.3
スペイン14.968.017.1
ドイツ13.465.820.8
ロシア14.972.013.1
ポーランド15.071.513.5
スウェーデン16.565.318.2
イギリス17.665.9116.6
フランス18.464.816.8
カナダ16.569.414.2
アメリカ19.867.113.1
アルゼンチン24.964.510.6
インド30.264.85.1
南アフリカ29.765.15.2

■人口動態総覧(率)の国際比較■
国名 出生率 死亡率 婚姻率 離婚率     合計特殊
出生率
(人口千対)
日本 8.3 9.9 5.2 1.87 1.39
韓国 9.4 5.1 6.6 2.3 1.24
シンガポール 9.3 4.4 6.1 1.9 1.15
アメリカ *13.0 *7.9 *6.8 *3.4 *1.93
フランス *12.6 *8.6 *3.7 *2.04 *2.0
ドイツ *8.3 *10.5 *4.7 *2.27 1.38
イタリア *9.3 *9.7 *3.6 *0.9 1.41
スウェーデン 12.3 9.6 5.4 2.52 1.94
イギリス *12.5 *9.0 *5.1 *2.05 1.96
・*印は暫定値
・日本・・・人口動態統計月報年計(概数)の概況
・韓国・・・韓国統計庁資料
・シンガポール・・・シンガポール統計局資料
・アメリカ・・・NCHS,National Vital Statistics Reports
・フランス・・・フランス国立統計経済研究所資料
・フランスを除くヨーロッパの各国・・・UN,DemographicYearbook2006-2010

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