少子化の現状と将来

近年、日本の出生率は急激に低下し、昭和40年代(1,970年代)には
ほぼ2.1程度で安定していた※合計特殊出生率は、平成7年(1,995年)には
現在の人口を将来にわたって維持するのに必要な水準
(人口置換水準ともいう)である2.08を大きく下回る1.42となりました。

そして平成17年(2,005年)には合計特殊出生率が1.29まで低下し
昭和40年代後半(1,970年代前半)に200万人を超えていた出生数は
111万人と6割弱程度の水準まで減少しました。

持続的な出生数の減少は、昭和50年代後半から、将来を担う
15歳未満の子供の数の減少をもたらしてしまいました。

当時、2,700万人を超え人口の24%を占めていた15歳未満の子供の数は
平成16年(2,004年)には約1,770万人と人口の14%を占めるに過ぎない
状況となっています。

また日本では諸外国に類を見ない速度で高齢化も進行しており、
65歳以上の占める人口割合は、昭和40年代後半(1,970年代前半)には
7%台で推移していましたが、平成16年(2,004年)には約19%と、
約25年間で3倍弱になっています。
これに要した年数は、諸外国(フランスの約120年間、ドイツの約45年間)
に比べてもはるかに短くなっています。

この結果、近年日本の人口構成は急速に、大きく変化してきました。

年齢(3区分)別人口及び増加率:1,884〜2,005年


合計特殊出生率・・・
 合計特殊出生率(ごうけいとくしゅしゅっしょうりつ)とは
 人口統計上の指標で、1人の女性が一生の内に生む子どもの数を示します。
 この数値によって、将来の人口の自然増減を推測することができます。

 例えば、調査対象における男女比が1対1であり、すべての女性が
 出産可能年齢以上まで生きるとすると、合計特殊出生率が2であれば
 人口は横ばいを示し、これを上回れば自然増、下回れば自然減となる
 はずです。実際には生まれてくる子どもの男女比は男性が若干高いこと、
 出産可能年齢以下で死亡する女性がいることから、自然増と自然減との
 境目は2.08(あるいは2.07)とされています。

多子家庭の現実・少子化が叫ばれる中で

少子化対策を検討する政府の「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」(議長・塩崎恭久官房長官)の初会合が開かれましたが、現在の多子家庭への施策は、あまり聞こえてきません。

フランスのような多子家庭への手厚い保護は望むべくも無く、こういった多子家庭への施策の遅れも少子化の原因ではないでしょうか。

各地方自治体では、それぞれに多子家庭を援助する制度を設けていますが、とても充分といえるものではありません。


また教育制度においてはどうでしょうか。

例えば、ある学校では小学校6年間に必ず1回は役員・委員を務めなければならないという取り決めがあるそうです。

6人子供がいるとすると、その親はほとんど毎年役員・委員を務めることになるでしょう。

子供が1人の親は1回だけ、子育てに忙しい親ほど役員・委員を何回も務めなければならないというのは、果たして妥当なことのでしょうか。

その忙しさは一体どれほどのものか・・・想像に難くありません。


最近少子化対策といえば「生む前」や「生む時」のことばかり取り上げられている印象がありますが、本当に大事なのは「生んでから」だと思います。

児童福祉制度の充実は昭和35年度厚生白書にもあるとおり、ずいぶんと昔からその必要性が叫ばれていますが、大きく前進しているとはとても言い難い状況です。

「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」では、具体的かつ迅速な政策の検討が必要ではないでしょうか。


少子化対策整えば・・・2,055年の総人口

厚生労働省は、国民の結婚や出産に関する希望がかなった場合の仮定人口試算に基づき、人口減少をどの程度緩和できるかの見通しを、厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の人口構造変化部会に提示しました。

それによると、2,055年の総人口は最大1億391万人で、1億人の大台をかろうじて維持できる見込みですが、それでも現在より約2,300万人減少する計算となります。

仮定人口は、政府が有効な少子化対策を打ち出し、国民の結婚や出産に関する希望の実現度合いに応じて出生率が最高で1.76、最低で1.41まで回復するとの仮定で試算し、総人口は2,055年時点で9,393万〜1億391万人になると予測しています。

ただ、少子化対策が最も成功した場合の出生率でも、現在の人口水準維持に必要とされる2.08には遠く及ばず、人口減少が止まらないことに変わりはありません。

政府の少子化対策が効果を上げない場合の将来人口推計(中位推計)では、2,055年の人口見通しに関して総人口を8,993万人、14歳以下の年少人口は752万人になると予測しています。

年間出生数について、最大で80万人台を確保するとしていますが、その場合、14歳以下人口は、将来人口推計の2倍近い1,318万人まで回復が見込め、総人口に占める割合は現行と同水準の「8人に1人」を維持でき、極端な少子高齢化社会の到来を防ぐことができると試算しています。

この試算に基づくと、生産年齢人口(15〜64歳)も5,427万人となり、総人口に対する比率は52.2%で将来人口推計とほぼ変わらないものの、実数では830万人多くなると予測しています。

この試算結果を受け、人口構造変化部会では
・若者の正規雇用の促進
・育児休業拡充など子育てしやすい就業環境の整備
・長時間労働の解消
などによって、結婚と第2子までの出産を増やす政策に重点を置くべきだとする報告書をまとめました。

報告書は政府が新設する少子化対策重点戦略検討会議に提出される予定となっています。

止まらない地方の小児科医不足



全国で広がる小児科医不足には、様々な原因が指摘されています。

一つの引き金になったのは2,004年に導入された医師資格取得後の新しい臨床研修制度だといわれています。

幅広く診療できる医師の養成」を目的に、これまで努力義務であった臨床研修を義務化し、研修医が自由に研修先を選べるように改めました。

このため研修医は、より高収入で活躍できる都会の大病院を目指す一方で、派遣医師の減った地方の病院は労働環境がより一層悪化するという悪循環が生まれます。

特に勤務がきつく、訴訟リスクが高い産婦人科小児科医のなり手が減ってきています。

大都市や特定の診療科といった医師の偏在だけでなく、そもそも絶対数が足りないという見方もあり、専門家の間でも意見が分かれています。

離島など過疎地だけでなく、都市近郊のベッドタウンでも影響が出始めており、まだ有効な打開策は見出されていません。
新着記事 一覧
■諸外国における年齢別人口の割合■
(2,006年8月1日現在)

国名年齢別・人口割合(%)
0-14歳15-64歳65歳以上
日本13.665.820.6
韓国18.672.09.4
中国21.471.07.6
イタリア14.066.020.0
スペイン14.369.216.5
ドイツ14.366.918.8
ロシア15.370.913.8
ポーランド16.370.713.0
スウェーデン17.565.317.2
イギリス17.966.116.0
フランス18.265.216.6
カナダ17.669.313.1
アメリカ20.866.912.3
アルゼンチン26.463.410.2
インド32.162.75.2
南アフリカ32.663.24.2

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